真砂なす数多の星のその中に我に向かいて光る星あり

ドキュメンタリー映画「ハーフ」を観る。思い出したのは、「コーダの世界」。 時折、ウェブ上だったりバーだったりで、ひどく趣味の合う人に出会う。それは奇跡みたいで、神様はいるんだ、と信じるような気持ちになる。 まだそういうご経験のない方、もしこ…

「君と僕の言葉を愛する人がいる」ことに甘えるな

あえて言っておくと、小沢健二が歌う歌詞に東大の匂いと特権化を感じるが、そんなものにはなんの意味もないし、もし小沢健二自身がそれら固有名詞に意味を考えてないと言ってもそれは卑怯である、と言わざるを得ない。 銀杏並木も駒場図書館もくだらないし、…

誰か放した風船が飛んでいくよ

今さらだけど小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」を買って聴いている。 かつて、私は小沢健二に憧れた。田舎町で「LIFE」を聴きながら、東京へ憧れた。 気がつくと、大学も出て十数年、結婚して子供までいる。笑ってしまう。 あの頃は、とて…

六の宮の姫君

鈴木涼美「身体を売ったらサヨウナラ」を途中まで読んだ。なんだろう、もう読まなくても良いような気がする。 中村元「往生要集」を借りてきて読んでいた。妻が「中村元って、要するに仏教オタクでしょ。」とか抜かしやがった。が、それを否定する言葉も確か…

君という単独者

年末年始とゴールデンウィーク、シルバーウィーク、お盆といった長期休暇を待ち望むような生活ってなんだろうね。つまらんね。 ワーカホリックもつまらんが、レジャーを待ち望む生活もつまらん。どちらも充実、ってのもつまらん。つまらん、つまらんとブチブ…

夢を見た。

人が入ることをあまり想定していない、入り口が狭い上に荷物の積み上がった古本屋。入り口付近にジャン・ジュネの本。西谷修、みたいな名前の人(五文字くらい、西が名前に入っている、が西田幾多郎ではない。雰囲気は新進気鋭の誰か。ただ、千葉雅也とか國…

分からないことばかり

半藤一利・出口治明「明治維新とは何だったのか」読了。明治維新を薩長による暴力革命と定義。通説的理解を対談で読みやすくした、ということか。 大久保、西郷、木戸等々の人物評みたいなところは与太話以上のものではないような。それぞれの人がやったとさ…

誰もが知っている間違いと誰もが知らない正解と。

備忘録的に。カール・E・ワイクは読むべき。

タンポポ

伊丹十三「タンポポ」を観る。 我々は食べるために生きるのか?否!生きるために食べるのか?否!あるいは生きるためにセックスするのか?否!セックスするために生きるのか?否! 我々はただ食べ、セックスし、生きるのだ。生き、セックスし、食べるのだ。盗み、だ…

やれやれ。

Hさん来る。村上春樹の話など。 村上春樹について、何が問題か分かった。彼の文学は、人が変わるということの本質的な意味を欠き、変わらない自分と、そこにトラブルを持ち込む世界に対する不平と対処しかない、ということだ。「トラブル」は主観的なもので…

もし、誰もが有罪なのに一部の人のみ有罪になるとしたら

もし世界が相互に関係して、それぞれの人の行動で世界が成り立っているのであれば、無罪である人は、有罪の人に罪を押し付けている悪人、ということになる。

面白うてやがて悲しき

伊藤計劃「ハーモニー」を読む。勧められて。面白かったです。ただ、どこか消化不良の感じが。続けて「虐殺器官」。これは‥村上龍「69」? ________以下ネタバレあり__________ ・文体がポルノグラフィック。暴力的なシーンの描写が過剰で「こういうの好きで…

夢見る頃を過ぎても

又吉直樹「火花」読了。正統派ビルドゥングスロマン。 江藤淳「閉された言語空間」を読んでいる。ただ、この違和感はなんだろう? 城山三郎、司馬遼太郎、江藤淳、半藤一利を読んでいて感じる違和感。 言語空間はいつでも閉されている。いつでも思想と文化は…

嘘をつけ!

柄谷行人「坂口安吾論」を読む。 柄谷行人を読む快楽がどの辺りにあるのか分かった。気づく者と気づかぬ者、問題の近くにいて、素通りする者とそうでない者がおり、読者は気づく者の側にいることができる。 しかし、そういう語り方にはやはり注意が必要だ。…

あんなことがあった後には

全てがどうでも良いような気持ちがする。「もう既にこんなにあんなことがあった後にはもう取り返しがつかない」というような。 「あんなこと」というのは、なぜか私自身の体験していないことではあるけれど、例えば水俣病とかインパール作戦とか三光作戦とか…

後退戦の演じ方

「スクラップ・アンド・ビルド」読了。羽田圭介の露出が多いので読んでみた。一気に読めるところが作者の力量ということなのだろうか。何か腑に落ちない。 寝ます。

間違った肯定の鳴き声

粕谷一希「二十にして心朽ちたり」を読む。途中から苦痛。この本を読んで、共感する人は誰なのか。旧制高校の嫌なところがモロに出てる感じ。 遠藤麟一朗の美学、みたいなもので彼の生き方を肯定したい気持ちはわかるし、そのようにすることにも正当性はあろ…

思い出しても涙も出ない

高田里恵子「学歴・階級・軍隊」読了。山崎晃嗣や遠藤麟一朗についての記述が印象に残る。面白い。 ただ、あまり若い頃のショックそのものについては、学歴の高さ云々よりも個々人の言語能力とその後の影響が重要で、それ自体は考えなくても良いような気がす…

腹が減っては

「完全なる首長竜の日」読了。T君に勧められ。サリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」へのオマージュと聞いて。 面白いけど、個人的な趣味として気に入らないことがある。必然性も無いのに、子供を殺さないでほしい。物語の中であっても。この…

人間の必然的帰結

電車の中で、「私たちは売り物じゃない!」という広告を見る。いや、君たちは売り物だ。私たちと同様に。他の人と同様に。それを隠蔽できると考えるのは、あまりに人を馬鹿にし過ぎではないか? 大島渚「青春残酷物語」を思い出した。「全ての職業は売春である…

その先に何があるのか

「脳を創る読書」読了。紙のほうが情報量が多く、記憶に定着しやすい、というのはなるほどと思う。電子辞書に替えてから、英単語の記憶力が弱くなった気もするし。人間の脳は複雑さを好む、というのは良く分かる。 もう一つ。言語についてはまだまだ分かって…

ムダづも

苦しい時に苦しいと言う。悲しい時に悲しいと言う。それはそんなに難しくない。難しいのは、羨ましいとか妬ましいとか憎らしいとか、そういう自分のみっともない感情に正直になることだ。 正直になったときに、自らの卑しさをどうするのか。 哀れむべし。 積…

理由のわからないことで悩んでいるうちに老いぼれてしまうから

「石原慎太郎を読んでみた」を読んでいる。面白い。時折茶々が入ること、ではなく、ある作家を読む、という行為を、楽しそうにやっている二人を見ていて楽しいのだ。愛するものを語る人たちを見ていて楽しいのは当然だ。もちろん、彼らが愛しているのは石原…

Invisible classmates

「コーダの世界」読了。読んでいて何度か涙が出そうになる。それは同情とかでなく、自分の所属すべきコミュニティーを見出した人たちへの羨望ともいうべき感情から。おそらくは美化し過ぎなのだろう。 坂口安吾に「漂流記」という小説がある。さまよいたどり…

紅旗破賊非吾事

藤原定家の日記「明月記」について堀田善衛が書いた「定家明月記私抄」を読んでいたり、澁谷智子「コーダの世界」を読んでいたり。「コーダの世界」が面白い。 コーダとはChildren of def adultsの略で、ろう者を親に持つ子供のこと。 ろう者と聴者では、文…

風邪

風邪をひくと、途端に人生に悲観的になる。悲観的になる理由なんて、体調のせい以外にはないんだろう。 三島由紀夫が太宰治の文学について、乾布摩擦でもすれば治る、というようなことを言っていたが、その言葉はそのまま自分にはねかえる。 年齢を重ねてい…

本当の思考が始まる場所

「人類の根源的な二つの敵、憎しみと後悔。」とスピノザはどこかで書いたとか。 土曜日の夜はにぎやか。今は、妻と子が寝ている中、嶺川貴子のNRBQ「christmas wish 」のカバーを聴いている。 今日は2017年の11月18日。もう19日だ。12時を過ぎると魔法がとけ…

人には自由意思はない

ただ感情はある。論理的思考力もある、どちらも自動的な刺激反応モデルで説明した方がよい。記憶と経験による刺激への反応の変化はある。 スノビズム。 部分最適と全体最適の齟齬の解消。

東京

Mと会う。Amazon echoとかGoogle homeとか。使い方がわからないし、役に立つかどうかわからないからこそ買う、という話。エンジニアリングとブリコラージュ、とか。ツリーとリゾーム、伽藍とバザールの比喩とは違うが、親和性と差異について考えておくこと。…

what we talk about when we talk about love

何かについて話しているときに、その何かについて話していることはまれだ。その何かについて話せることはまれだ、と言い換えるべきかもしれない。